2018-01-01から1年間の記事一覧

ボヘミアン・ラプソディ[千本シネマ#1]

前史20年後——つまり45歳のとき——どんな素敵なおじさんになってやろうかと考えを張り巡らせたときに、映画を1,000本観たと自信を持って言えるナイスミドルになっていたいという思いに駆られた。数字に意味なんてない。ただ、少なくとも最後まで歩かなかった、…

『世界文学を読みほどく』ツリーから羅列へ

本を読み、文字を重ねる。そのとき、何を目指して打鍵するのか。あるいは誰を。人に本を勧める文章は、それを購入させる動線を担うのか、感動を分かち合う相手が欲しいのか、その紹介を通じて個人でも社会でも世界でも何かが変わればいいと思っているのか。 …

世界の終わりを想像する方がたやすい

面白そうな本を買った。映画、哲学、政治、経済の用語や文章が縦横無尽に目まぐるしく散りばめられ、注意深く読まなければ(注意深く読んだとしても)、そこに何が書かれているのかまるで分からない。しかし、何が書かれているかまるで分からなくとも、そこ…

おみやげ関係とか贈与論とか

「本当の友達が欲しい…」17歳の女子高生に鴻上尚史が助言した「おみやげ」関係とは? が巷で話題になっていたようなので、読んだ。女子高生、悩みは学校が楽しくないこと。五人グループに属する女子高生が、私なんていなくたっていいんだ、と疎外感を抱く。…

好きなものと通り過ぎるものについて

ワンルームの扉を開けると陽が山脈に落ちようとしていた頃で、夕闇の境、仄かに昏い温度に伸ばす腕が止まる。日日に好きな瞬間が二度ある。それがこの陽が沈むときと、再び山から姿をみせるときだった。 ふと四季がある街に住みながら思うのは、一日でも一年…

編集しながら生きている

ある日を境に「人生とは編集である」と妄執し、それが即席に学んだ仏教思想と結びついているものだから、いま私の人生観はたいへん面倒臭いことになっている。酒の勢いでもなければ人に話すこともないが、良寛も「盗人に、取り残されし窓の月」と詠むような…

サピエンスと虚構の歌

「ホモ・サピエンスと申します」え、なんだって? と僕は聞き返す。「ホモ・サピエンス」彼は、僕が聞き取りやすいようにもう一度ゆっくり発音した。「人類っていうのは、みなホモ・サピエンスなんですよ。私も、あなたもね」「僕が君と兄弟だっていうのかい…

絶望に効く読書、はじめます。

岩を転がすことは、Roll a Rockっちゅうらしく、ゆえにRock 'n' Rollな生き方は岩を転がす退屈な日々に宿ると、このブログは主張したいんです。あっちゅうまに25歳、数えて四半世紀。さては読書ブログをはじめます。*1 万年床の上でヘッドホンいっぱいにロッ…

友の死から始める仏教入門

(夏に書いたブログの残骸です) 数年前、友人を亡くした。じとりと、夏に移り変わろうとしていた。僕らは二十歳で、まだ失うものなんてないと思っていた。それが人間で一番美しい季節だなんて誰にも言わせない。春には春の苦しさがあって、夏の苦しさには考…